
1 特性の観察
(部分抜粋を掲載)
証券営業は際立った特性を持っています。
ここではその特性について考え、どのように対処するかを考えてみましょう。
2 値下がりへの対応
(部分抜粋を掲載)
お勧めして買っていただいた商品が、値下がりすることがある。
これは普通一般の営業にはない現象です。
これは証券営業の大変につらい特性です。
お勧めした商品が、いつも期待した通りに値上がりしてくれれば、証券営業ほど楽しい
仕事はないでしょう。お客棟はいつもニコニコ笑顔で迎えてくださるし、どこへ行っても
歓迎される、まるで福の神扱いされる日々が送れます。
ところが、世の中はそんなに甘くはないのです。
お勧めして、買っていただいた途端に、値下がりが始まるという、不運に出会うことも
あります。一所懸命に考えてお勧めしたり、この人には絶対に儲けていただきたいと思っ
たときほど、やられたという経験は、多くの証券営業員が持っています。
この「値上がりもあり、値下がりもある」投資を、どのように考え、どのように理解し
て対応するか、そこに証券営業の最大のキーポイントがあります。
予測の基本
先のことを予測する基本の原則は「今判っている状況を基にして、人々が明日以降、ど
のように行動するかを考える」ことにあります。
ここに人と、人の集団の行動を予測する重要な鍵があります。
温故知新
「古きを尋ね、新しきを知る」。人間は同じような状況に対しては、時代を超えて同じよ
うに反応するということから、予則のために過去を見るという意味で使われてきた格言だ
と思います。
「歴史は繰り返す」という言葉もありますが、人間は有史以来、おそらくは有史以前から
も、同じようなことで、喜び、怒り、哀しみを繰り返してきたに違いありません。
ところが、人間の能力の限界であるのかどうか、よく判りませんが、自分ょりも前の時
間帯を生きた数多くの人達の経験を参考として、自分の生き方に役立てられる人は、あま
り多くないように思われます。
慣性の法則
予測手法として、いま一つ広く使われているものに、物理学でいう「慣性の法則」があ
ります。物体の一定の方向への動きは、一定の時間、同一の方向に動きつづけるという原
理から、人間の心理や行動も、同じような性向を持つことに着目した方法です。
テクニカル・アナリシス
人の動きは人の心理によって起こされることから、人の集団としての心理の動きをパタ
ーン化して認識し、同一パターンの発見により次の動きを予測するという方法もすでに
江戸時代から行われています。
テクニカル・アナリシス、罫線、格言などが、この分野に含まれます。
未知の未来の予測
世界の政治・経済の動向、日本の政治・経済の見通し、そしてその中で活動する個々の
企業の業績の見通し、それらのすべてが相場を動かしています。
着目すべきポイントの一つは、その変化の実態よりも常に先行して、人がその見通しを
どのように考えるかという点にあります。
「お勧めした商品が値下がりすることがある」証券営栗の
持性にどのように対応するかを、真剣に考えなければなりません。
営業の基本は信用
証券営業においても、最も重要なことはお客様からの信用です。
他のあらゆる業界の営業と同じであり、昔からの商人の基本と変わりません。
信用とは文字通り「人の言うことを用いる」のですから、他人に自分の言うことを使っ
てもらえることをいいます。
二十代、三十代の努力と修業は、一生の土台です。
自己中心
人間は誰でも「自分のためになる人や自分の役に立つ人」が好きです。
役に立たない人、害を与える人を、好きになる人はいないと思った方がよいのです。
ここに、営業活動のための基本原理があります。
知識と判断
次に大切なことは、やはり知識と判断です。
お客様の投資判断に役立つ知識を、基本から応用にいたるまで、なるべく幅広く、そし
て深く身に付けることが望ましいのです。
最も基本的なことは、市場で形成される日々の価格は刻々と変化していくという事実を、
深く認識することにあります。
、なぜ一つの物の価格が、刻々と変化するかといえば、多数の売買参加者の心の動き、考
えの変化、そして揺らめきが、その行動を支配しているためです。
投資価値の尺度にも様々なものがあり、同一尺度をすべての人が用いているわけでは
ありません。
また新しい変化に対する反応も、反応のスピードも、人によりまちまちです
見切りの重要性
「見切り千両」という格言があります。
間違ったと気が付いたときは、損をしてもただちに撤退する。これが生き抜くための最
適の方法です。
もしかして、少しでも戻らないかとか、ここで撤退したのでは、損が大きすぎるとか、
いつかは戻るだろうと、塩漬けにしてしまうとか、自らの判断の適切でなかったことを
認めたくない人や、目先の痛みを避けたいと思う人を戒める格言です。
至難な天底の見極め
「天井売らず、底買わず」という格言もあります。
相場の一番高いところを売り、一番安いところを買おうとするなという意味です。
あまりにも早いスタートや、買い出動ばかりを追求しなくとも、動き出した相場をよく
見極めてから買いに入り、値上がりのつづく間に売る。 、
当初の目標直に、あっさり到達したりすると、ついつい上値を追い掛けるとか 一番高
いところで売ろうとする心の動きを、戒める言葉です。
3 お詫びについて
(部分抜粋を掲載)
証券営業の特性として、投資対象の選定やタイミングなどの見通しが外れたために、お
客様にお勧めした商品が値下がりすることがあることは、すでにご理解いただけたと思い
ます。
いかに懸命に考えてお勧めしても、値下がりした時には、見切っていただかなければな
らないことの理由も、お判りになられたと思います。
大変つらい局面ですが、このような場合に何が大事なのか、よく考えてみましょう。
「お詫び」の大切なことと、逃げてはいけないことを、よく覚えておいてください。
4 リピート販売
(部分抜粋を掲載)
「同一のお客様に何回でも売り買いしていただける」。これもまた、証券営業の際立った
特性の一つです。
一人のお客様に、何度でもお買い上げいただくことが大切なのは、何の商売でも変わり
ません。そのためにこそ、商人は信用と評判を昔から大切にしてきました。
最近では、顧客の固定化とかCSとかの表現で、必要性が強調されています。
このありがたい証券営業の特性をもたらしているのは、あのつらい第一の特性と同じ理
由から発生するものであり、切り離すことのできないものであることを、理解しなければ
なりません。
そしてここでも、証券営業員の働きは大いに重要であり、お客様の投資成果に大きく貢
献することもできれば、あまりお役に立たないケースもあり得るのです。
営業成績とお客様の投資利益、場合によっては対立することもある、この利益のバラン
スを崩してしまうと、証券営業は暗く苦しいものになってしまいます。
そこに落ち込まないために
5 価格・手数料・電話約定 (部分抜粋を掲載) 手数料は証券営業の核心です。 電話注文 スピードを競う証券取引では、どんなに大きな注文でも、電話一本で決める取引の割合 取引注文の度に、いちいちお客様に契約書捺印をいただいている余裕はありません。お ことが起きてからでは間に合いません。日頃の計画され、積み重ねられた営業活動こそ
6 見えない商品を売る工夫 (部分抜粋を掲載) 「商品が目に見えない」、これは証券営業だけの特性ではないのですが、見せる、触らせ 方法としてはまず、説明資料の作成が基本になります。
7 断わるべき注文 (部分抜粋を掲載) これもまた、証券営業にとっては、重要なポイントの一つです。 証券会社にとっても、警戒すべき悪質な投資家は、過去の取引経験から、各証券会社が ロマンに満ちた仕事 このように証券営業の特性を並べてみますと、いかにも証券営業が難しいように感じる 経済活動はすべて先行きの予測によって計画され、実行されていますが、その予測が外 時代を超え、地域を超えて共通する商人としての正しい生き方は、自己中心に陥ること なく、お客様と自分の職業に対して「誠意誠心」の日々を送ることにあると思います。 それに加えて、時機を察する感性と、決断と実行への勇気を養えば、証券営業はこの世
第4章 法人への営業 1 個人への営業との違い (部分抜粋を掲載) 証券営業の原点は、個人に対する営業にありますが、証券営業員は同時に法人への営業 我が国には、税制の影響もありますが、非常に数多くの中小・零細な法人があることと、 個人営業の場合には、お客様の要望を理解して、それに応えるためには、その人自身と 小規模法人で、投資の意志決定が代表者一人で行えるような場合には、個人営業の方法 証券会社では、一般的には、法人への営業を金融法人と事業法人とに分けていて、その 金融法人は、金融機関である都市銀行、地方銀行、第二地銀、信用金庫、信用組合、そ 事業法人は、上場会社から店頭登頼まで株式公開をしている会社と、その子会社や関連 また学校法人、宗教法人、財団法人、社団法人、協同組合などなどの、いわゆる各種法 しかし、個々の法人の持つ要望や、法人内部の個人の要望はまちまちですし、それらの まず最初に、個人に対する場合と、法人に対する場合との、営業活動の相違点を考えて 2 開示情報の活用 (部分抜粋を掲載) 個人営業では、見込み客の要望を理解するために、訪問と面談を繰り返して、情報を少 個人についての情報は秘匿するのが原則ですが、法人については情報は開示を義務づけ
3 法人内個人の要望 (部分抜粋を掲載) 法人自体の持つ要望を把握するのと並行して、証券営業員は、法人内部の個人がそれぞ この場合、個人営業との違いで気を付けることは、その法人の中で、その個人がどのよ 一つの法人の中で、複数の個人と常に接触している必要がありますから、法人営業をす 担当する法人のあらゆる立場の人と、円滑に接触をつづけるためには、自分の好悪の感 その個人や、その法人に本当に必要で役に立つ情報と、具体的なよい提案を求められて 同一法人内の複数の人と接触する必要がありますので、訪問の行い方には工夫がいりま
4 複数での営業 (部分抜粋を掲載) 法人に対する営業活動は、こちらも証券会社という法人に所属していますから、法人と 担当は一人ですが、こちらから訪問し面談する人の数は多いのです。 営業員の都合で取引関係を中断することは許されませんし、自分一人だけで良好な取引 競合 法人営業では、同業他社との競合が常にあります。 「外交のための内交」も必要なのです。
5 提案型の営業 (部分抜粋を掲載) 株式でも何でも投資をお勧めする以上は、なぜお勧めするのか、理由があります。 由の説明を先方の社内で求められることほあり得えます。 投資の内容が何であれ、提案の基本型は文書ですが、その説明のためには、いろいろな フレゼンテーションの技術 欧米のビジネスに不可欠なプレゼンテーションも、我が国では、商習慣の違いもあるの か、まだまだ発達していないように思われます。 6 法人の意思決定 (部分抜粋を掲載) 法人による投資や資金運用の意思決定の方法は、その法人の種類や性格、その他の理由 投資や運用が日常的に行われている法人においては、年度の大きな方針や資金量の枠組 今、この日本型の合意形成の方法に対する批判や、改善への提案が数多く行われていま 結論的には、法人の意思決定を求めるためには、明快な論旨による提案と同時に、数多
7 法人営業の礼儀作法 (部分抜粋を掲載) 個人営業と法人営業の基本的な相違点は、お判りいただいたと思いますので、次に、法 法人と法人の取引が成立しますと、相手法人と自分の法人とのお付き合いが始まるとい 言葉に出さなくても、相手の気持ちを察したり思いやるということは、日本の文化の伝 法人営業員としては、お客様に気持ょくお付き合いいただけるように、マナーを大切に 法人営業員は、自分だけではなく、代表
8 法人営業の接待 (部分抜粋を掲載) 法人の接待交際費については、全国的にみて巨額なことや、汚職、贈収賄など犯罪行為 本来、人と人とが親しくなるためには、一緒に何かをすることが必要です。「同じ釜の飯 友人や仲間同士の飲食が楽しいことは、誰でも同じです。
9 法人顧客の管理と計画 (部分抜粋を掲載) 法人顧客の管理のために、法人営業員は法定の台帳の他に、A4判のカードで資料を作 営業員が努力して積み重ねてきた、担当法人に関する情報やデータは、個人の物に止ま 計画の重要性 個人営業における計画と時間管理の重要性については、前に述べましたが、法人営業に 理由は、法人は中長期の計画を立てて運営されていること、単年度の計画は毎年必ず立 法人営業活動では、担当法人のこれらの計画を、立案の段階から把握するように努めな 計画性のない法人営業は、ただ単に業績が上がらないだけではなく、その間にライバル 1 困難に対処する方法 (部分抜粋を掲載) 人生で、平らな道ばかりを歩きつづけられる人はいません。 証券営業をしていても、あるいは他の職業についていても、人生で困難との遭遇は避け 今、第二の産業革命をもたらそうとしている、エレクトロニクスの技術は、米ソの対立 どのように迂回すれば攻められるか、困難な問題に直面したときには、必ず考えて実行
2 営業に型なし (部分抜粋を掲載) 「営業に形なし」と言われています。
3 読書と思索 (部分抜粋を掲載) 証券営業の仕事は、時間と競争をするような面が多いと思います。 相場を追掛けていますから、気が揉めることは多いと思います。他の業界に比べると、 情報機器の発達により、今後も情報の量は増えつづけるでしょう。取扱い商品の数はま 次々と起こる新らしい現象を捕らえるためには、読書は向いていません。 読書は、簡単には変わらない基本的な事柄や、人間が長い間伝えてきた知恵について、 その本質を理解するためには最も優れた方法です。 しかし、受信した情報を自分が処理し再加工して、自らが発信するためにはどうして 読書と思索は、人間のすべての行為への理解を深めるために役立つように思います。 「青年一日会わざれば、刮目してその成長を見るべし」と教えられました。
おわりに 昭和三十年代に私達の世代の者が、証券界に入れていただいて以来、見ょう見まねで覚 自分が教えられ、覚えたつもりでいたことを、どれほど実行できたのかを振り返ると、 どの道を歩んでも、人間の行為は完成するということがないように聞きます。 この本を手にした方は どうか読み捨てにしないでください。 よりよい証券界、よりよい証券営業員の人生を願いながら、これまでご指導い頂いた 小野喜也(おの よしや) 1935年 昭和10年、元小野証券株式会社社長・小野喜一の長男として、東京都深川に生まれる。 1958年 昭和33年、慶應義塾大学経済学部卒業、大和証券株式会社に入社。以後債券部、金融法人部、京都支店、事業法人部、秘書室、名古屋支店、金業務部に勤務。 1983年 昭和58年、大和証券投資信託委託株式会社に移籍。業務部長として、全国の証券会社を通じ、投資信託の募集に当たる。常務取締役を経て、現在監査役。 証券営業 理念と技術 -------------------------------------------------- 1995年2月9日 第1版発行 1995年5月19日 第4版発行 著者 小野喜也 発行所 文園堂出版 〒162 東京都新宿区築地町7 印刷 文園堂印刷 --------------------------------------------------
近年の自由化問題の論議の高まりと共に、一率手教科制が問題にされています。
が、極めて高いという特色があります。信用を重んじ「口にしたことは必ず守る」という
伝統と、必要性から生まれたものです。
客様もより早く有利な価格での、注文の執行を望んでおられます。
相場は分・秒の単位で変化をしているのです。そのために電話が取引の主力です。
これからは、お客様との間でも、ファクシミリやパソコンで交信するケースが増えてく
ることが予想されます。
が、総合的にみて勝利への定石となります。
る、試用してもらうというようなことが可能な物品販売とは、全く違うことですから、よ
く考えなければならないと思います。
形や姿がなく、情報だけで投資価値や見通しをご説明しなければならないので、それな
りの工夫が大切です。
データ、数字、グラフ、チャートなど、より判りやすい資料をお見せしてご説明します。
いわば聴覚に加えて、視覚の助けを借りて、より正確にご理解いただくように工夫するの
です。
常に新規開拓を心掛ける証券営業員にとって、新しいお客様からのご注文は、ノドから
手が出るほど欲しいものです。
しかし、このような証券営業の内情をよく知った悪質な人間も、この世の中にはいるの
です。
データを持っていますが、プライバシー保護の問題があるとかで公表されていません。し
たがって、証券営業員はまず自衛しなければならないわけです。
人がいるかも知れませんが、そんなことはありません。
どのような仕事でも商売でも、基本は同じだと思います。
れてしまうことは、よくあることです。
流通業では、売れ筋の読み違いや数量予測の誤りで、在庫の山ができてしまったり、製
造業では、原材料の仕入れや生産設備に過剰投資をしてしまったり、近年の不動産業界と
その周辺で起きていることなどを見ると、予測の間違いによるダメージは、どこも同じに
思われます。
善行に対する評価は、まさに蟻の歩みに似て遅々としていますが、その積み重ねこそが、
人間の一生をかけて歩みつづけていく大道であると思います。
で最もダイナミックな、ロマンに満ちた仕事となります。
についても理解して、法人への営業推進の基本を習得しておくことは大切です。
それらの経営者の多くは個人投資家として有力な層を作っていることから、無視出来ない
存在となっています。中には、店頭登録から上場へと成長して行く法人もあります。
家族などの極めて限られた数の人について、それぞれの間の相互関係について理解できれ
ば、投資についての意志決定をしていただくことができました。
とあまり違いはありません。
しかし、複数、あるいはより多くの人が意思決定に参加したり、影響力を持つようにな
ると、やはり、それに対応する営業の方法が必要になってきます。
他の法人や非公開企業は、個人営業部門でカバーしていることが多いと思います。
れに興長銀等の発券銀行、生命保険、損害保険を中心として、さらに農林系統機関、各種
共済年金基金、公共法人、労金、投資顧問などを営業の対象としています。
会社を担当していると思いますが、未公開、あるいは公開意思のない非公開会社も含めま
すと、極めて数も多く、地域も投資意向も広い範囲に分布しています。
人があります。
これらの法人の中で、株式投資を恒常的に行い、活発に売買を行う法人は一部に限られ
ますが、保有する株式の総量は大きなものになっています。
またMMF、中国ファンドや短期債券の資金運用の必要性は、ほとんどすべての法人が
持っています。
それぞれの法人の種類によって、共通の要望はありますので、法人についての情報は、
同一種類の法人のものをまとめると、把握しやすくなります。
要望を理解し、意思決定にまでまとめるためには、どうしても証券営業員の働きが必要に
なります。
ましょう。
しずつ集めなければならないことは、前に説明しました。
ところが法人営業では、法人という社会性のために、一定の量の情報は、公に開示され
ているという特色があります。
これは必ず入手し、活用しなければならない情報です。
られているか、法人自体が開示の必要性を持っていることが、両者の最も大きな相違点な
のです。
法人への営業活動では、まずこれらの情報を集め分析して、活用することから始まりま
す。情報の処理方法としては、ノート、カードファイルが一般的ですが、個人営業に比べ
ると、情報量が大きくなるだけに、これからはパソコン活用の度合いが、効率面で大きな
格差を生み出す可能性があります。
れに持っている要望について、情報を集めなければなりません。
法人は個人の集合体ですから、こちらから働き掛けるのは個人に対してです。したがっ
て、それらの個人についての、要望を理解する必要があるのです。
うな立場にあるのか、職務権限と役割分担、上下・左右との人間関係、さらに当面抱えて
いる課題など、法人の中での個人としての情報が重要な点になります。
る人は、どのようなタイプの人とでも、うまくお付き合いできなければなりません。
情は、二の次三の次にも出してはいけないのです。たとえ、その法人の中でも、嫌われ者
であったり、恐れられているような人であっても、取引をするために必要なポジションに
いる人については、こちらから積極的に好意をもって接することが必要です。
いると考えなければなりません。
す。回数、インターバルなど、無駄を少なくする工夫が、時間管理の上で極めて重要とな
るのです。
しての取引を、営業員が自分の法人を代表して行うことになります。
また法人の数は個人と比べると少ないので、普通は、同一法人を担当する営業員は一つ
の証券会社について一人、ということになります。
法人と法人の取引ですから、自社の役職者、役員、代表者によるバックアップを常に意
識して、協力を得るように努めなければなりません。
商品本部や調査部門など、関係各部門の協力も必要であり、相手法人の要望に応えるよ
うな情報提供を行っていきます。
関係を維持することは難しいのです。
この点も、ほとんど一人の努力で完結する個人営業との大きな相違点です。
法人自体が行動目標を持っていて、それに従事している法人内の個人は、一般的な個人
に比べると、証券投資に関する知識は多く、情報量も多いので、証券営業員に求められる
知識の水準も情報の質も、高いものになります。
市場の噂や憶測を含めた伝聞の材料だけでも、最初の動きに乗ろうとする、冒険的な個
人のお客棟からはご注文がいただけることがあります。
しかし法人営業では、それだけでは注文をいただくことは、難しい場合が多いのではな
いかと思います。運用担当者がすべて一任され、合議の必要がない場合でも、投資判断理
方法があります。
とはいっても、今でも何らかの形で、企画や商品の説明は行われています。
必要なことは、いかに相手の理解を得られやすく表現するかについて、工夫することで
す。説明は口頭が基本ですが、音声という聴覚に加えて、視覚に訴える方法が考えられ実
行されています。
によって様々です。またそれだからこそ、法人営業員の手腕と活動が必要なのです。
したがって、ここでは基本的な原理原則について把握できるよう考えてみましょう。
みについての計画は、担当部門の立案と所定の社内会議により決められます。
毎月や日々の実行については、現場の最前線の担当者に権限が委譲されていることもあ
ります。権限がより下に委譲されているほど、意思決定は敏速となり、変動する市況への
対応には有利になるという考えです。
す。若い経営者の率いる創立の新らしい法人や、外資系の法人、一部の創業経営者の法人
などでは、異なる意思決定の方法もとられています。
しかし、上は政治・行政から下は町内会・自治会にいたるまで、日本人の集団における
行動原理は簡単には変わりません。
くの人の要望についての理解が必要だということです。
人営業で実際に毎日のように起きて、対応しなければならない事例についてお伝えしたい
と思います。
うことになります。
そこで、法人の間の交際のルールやマナーについての心得が必要になります。
あなた自身やあなたのご家庭が、プライベートにどのようなお付き合いと交際の方法を
行っていても結構ですが、法人を代表する営業員としては、法人間のルールとマナーを守
らなくてはなりません。
統です。たとえ鍵がなくても、障子や襖が閉められていれば、外から声をかけて許しを得
てから、膝をついて引き開けます。中にいる人の意志を確かめるのがマナーです。
する会社の姿勢を代表して行動するように心掛けます。
者や役員も含めてのお付き合いを、円滑に行うように配慮します。
と、からんで報道されることから、悪いイメージがあります。
税制や賃金制度との関係もありますが、国際比較などから、肥大化の批判を受けてもや
むをえない部分もあるのでしょう。
しかしながら、本質を考えれば、人と人の交際に経費は欠かせません。
ただその過不足のないよう、努めることのみだと思います。
を食う」「一つ屋根の下で寝る」と言われるように、寝食を共にする経験は、親しさを生み
出す重要な要素です。
取引先の方々と、仲間内の感じでお付き合いいただけるようになることも必要でしょう。
しかし、基本は自分の楽しみのためではなく、取引先の方々をいつも中心に考えることと、
さりげなく手落ちのない気配りが大切です。
ることが必要です。
上場会社の例で申し上げれば、会社四季報に要約されているような事項を、担当法人に
ついて整理して置く必要があります。
ることなく、会社の中に積み重ねられ、蓄積されて行くことが望ましいと思います。
法人顧客の管理のためには、今一つパーソナルヒストリー・カードがあります。担当法
人内の、個人についての情報を記載して置くものです。
おいては、計画はより一層重要になります。
てていること、四半期や半期毎の見直しや修正は行われるが、個人の行動に比べると、変
更のスピードは緩慢であることにあります。
ければなりません。担当法人の経営の方向をいち早く理解し、その方向に添った提案を、
他社に先んじて行う必要があるのです。
社内の最前線への指示や伝達が行われる以前に、経営の意図を知り、方向性を理解する
ことを目標とします。
会社にシェアーを奪われる事態を招く恐れがありますので、認められません。
第5章 証券営業で生き抜くために
二本の分かれ道で、一方が急な上り坂で、もう一万が平らな道であったとしたら、常に
上り板を選んで進めと、若い時に教えられたことがあります。
今では平らな方の道を選び、さらに車を使って楽に進むことを望む人の方が多いかも知
れません。しかし、常に平らな道を選びつづけていても、一本道が急な上り坂にさしかか
ることもありますし、分かれ道のいずれもが厳しい上り坂であることもあるのです。
られません。様々な形で様々な時期に出会う困難を克服できるか、またどう対応したかに
よって、その人の人生は形作られていきます。
また証券営業をしていれぼ、必ず出会うような困難もあって、それへの対処のしかたで、
その人の証券人生は出来上がってきます。
の中で生れ育って来たものですし、オペレーションリサーチやシュミレーションなどの経
営技法は、軍事目的で開発された手法から導入されたものです。
このところ、毎日のように新聞に書かれている「インターネット」も、軍事情報の高度
利用のために生み出されたものなのです。
してみることを忘れないようにしてください。
これは、証券営業が人と人の関係で始まり、そして終わるものであることから、そのよ
うに言われているのではないかと思います。
親子や兄弟姉妹でも一人一人の顔が違うように、人にはそれぞれの個性があります。
様々な個性をお持ちのお客様に、自分を合わせていくのが営業の基本ですが、営業員も
また個性を持っています。自分の個性に磨きをかけたり、よくないと自覚する部分を直す
努力は必要です。努力なしには、よりよい個性は育ちません。
朝の立ち会いの始まる前に準備しなければならないことが沢山ありますから、出勤時間
は早い人が多いと思います。
夜は夜で営業活動をしなければならない場合がありますから、大変です。
せっかちな人が多いとも言われています。
そのような毎日を繰り返していると、「耳から入った情報を口から出す」だけで、情報を
一度頭の中に入れて、練ってみることができなくなる恐れがあります。事実、そのような
人は少なからず見ることができます。
すます幅広くなります。投資の対象を選び判断することは、今以上に難しい仕事になって
くるでしょう。
投資の判断をするためには「考える」ということは欠かせない行為で、誰もがそれぞれ
の水準で行っています。買うか、売るか、見送るかの判断については、その人の脳の中に
ある、すべての情報が激しく比較・検討を行っています。
本を書いたり、出版するには時間がかかります。毎日印刷される新聞でも、テレビのス
ピードには勝てません。そのテレビも、パソコン通信やインターネットには負けるように
なります。
も自分の脳を使って考える「思索」という行為が必要になります。
っまり、読書はどんなものでも、営業と投資に役立つのではないでしょうか。
時間がない、お金がない、読書をしない理由は沢山あるでしょう。それでも、若い間に
読書の習慣を身につけることをお勧めします。
証券界の次の時代を担う若い人達が、二十代、三十代までの自然に伸びようとする、人
生の中の掛け替えのない時期を、無駄なく有効に使われることをお祈りします。
えてきたこととを、自分なりに、若い世代の人達に、少しでもお伝えしたいという気持から
書き出してはみましこが、ここまで書いてきた文章を読み返すと、額にも脇の下にも冷や
汗をかく思いがします。
反省反省の繰り返しであったというのが正直なところです。
それでも、やはり書き残すことによって、いらざる摩擦を起こして瘤をつくつてみたり、
余計な回り道に時間を無駄にしたり、考えれば判るようなことに我を通そうとしたり、私
と同じ失敗を繰り返す後輩が一人でも少なくなればと思い、筆を進めてきました。
証券営業の世界でも、究めるべき道は遠く遥かにつづいています。
あなた自身の経験と思考によって、批判したり修正したり、あるいは別の方法や手段を
示すなどして、あなたの後につづく人達に伝えていただきたいのです。
数多くの方々とのご縁とご好意に心からの感謝を捧げ、終わらせていただきます。
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