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著書
『日本政治外交史』(放送大学教育振興会, 1985年)
『秩序変革期の日本の選択——「米・欧・日」三極システムのすすめ』(PHP研究所, 1991年)
目次 ご紹介
プロローグ 「紀元二六00年」と真珠湾
「紀元二六00年」
真珠湾へ
1 日米開戦
真珠湾への道----政治的決定
最終方針へ
ルーズベルトの「真珠湾」
2 敗戦の方法
無条件降服へ----知日派の存在
六つの選択肢
「戦争犯罪人」か
グルーの早期終戦論
日本占領方針
3 戦後体制へ
敗戦前後
成功の陰に
東京とワシントン
戦後日本に向けて
4 歩みだす日本
吉田の組閣
中道政権へ
5 保守政治による再生
政治主体の確立
民主主義とナショナリズム
エピローグ 五五年体制の成立
吉田時代の終焉
保守合同の成果
参考文献
第6巻関係年表
索引
web masterの蛇足:
人間にとっては、自分の生まれる以前の出来事は総て歴史です。
いや物心のつく5歳以前の記憶は両親や身近な人からの経験の伝聞と入り交じり10歳位までその状態が続くのが常です。
さらに年をとって、新聞・ラジオ・テレビを自分で見た記憶でも、社会の全体の状況を正確な歴史として把握することは
難しいことですらあります。
日本の初等・中等教育で使用されてきていた「歴史教科書」がいかなるものであったか、論争が激しくなりました。
あなたが学校の歴史教科書で覚えた歴史は、果たして真実でしょうか?
当時は一般に明らかにされることのなかった事実も、年月の経過により公開されたことが沢山あります。
鎌倉時代の元の侵攻の後は、幕末の馬関戦争、薩摩湾砲撃と短期の外国との戦いの危機を乗り越えて独立を全うし、
明治以降は日清・日露の大戦に勝利した日本が、全国が焦土となり敗れた先の大戦の経緯は、これまで必ずしも正確に
日本人に理解されていないと感じられます。
小説、映画、ドラマと繰返し取り上げられる先の大戦の記憶は、日本人と同様にアメリカをはじめ交戦国の国民についても、
必ずしも正確な事実に基づいて記憶されていないことがあります。それはその時々の政府の国民に対するプロパガンダにより
歪められていることが多いためでしょう。
現在の日本の状況は、どのようして形成されて来たのか、記憶に新たな手前から歴史を訪ねて、自分の立っている場所を再確認し、
これからは如何にあるべきかの将来を考えることが大切であり、そのための最も重要な期間を本書は取り上げていると思います。
目次 ご紹介
はじめに
いまや海外から「改革のできない国」とみられるまでに、自己変革力を喪失した日本の状況はどこから来たのか、
という疑問をわたしは持ち続けてきた。95年暮れから96年2月にかけてあれほど白熱した議論を呼んだ住専処
理事件のあとも、政府・与党は従来と変わらない「密室型決定と不透明な手法」によって「理念なき場当たり政治」
を性懲りもなく繰り返した。
結果は、92年8月の宮沢喜一内閣以来、11回にわたる事業規模で総額118兆円超にも上る景気対策を実施し
ながら、景気は一度も力強く上向くことはなかった。あとには先進工業国中、最悪となった国と地方の借金漬けの財
政が残された。財政資金のばらまきばかり行い、経済・社会の閉塞状況の原因を突きとめて打破する改革が行われな
かったためである。
この国の元気のなさは、新規事業の「開業数」よりも既存事業の「廃業数」が上回っていること、経営者や経営幹
部の自殺が急増して、自殺者が98年から三年間連続で過去最悪の年間3万人を超えるまでになったところに端的に
表れている。金融、財政、年金に続き、ここにきてかっては外国から「世界で一番安心して街中を歩ける」と折り紙
を付けられた治安にさえ、不安が広がってきた。社会の衰退と荒廃が進んでいるのである。
公益法人の改革が切り口になる、とわたしは考えるようになった。
裁量行政によって設立を許可できる公益法人は「官」と「民」の間のグレイゾーンにあって、「官」が利権の蜜を
吸う「隠れミノ」になりやすい。「公益事業」の建前とは裏腹に、事業内容はろくに公開されないまま、行政代行業
務を独占して国や地方自治体から多額の補助金貪ったり、民業を圧迫したり、監督官庁の天下り先になったりと問題
が多い。
しかも、道路公団系の公益法人のように、特殊法人の下請け業務を独占して利益を上げ、出資して子会社を作って
巨大な利権を身内で山分けするケースさえあった。
一方、民間の一般の企業はといえば、全体の7割ほどが相変わらず赤字にあえいでいる。しかし、公益法人の問題
は、KSDの事件が起るまでは、散発的に事件のかたちで表れたものの、すぐ忘れ去られていた。少なくとも政府・
与党が、改革の対象としてしっかりと標的に据えて取り組むことはしなかった。
補助金の無駄使いと官僚の天下り先の頂点にある「特殊法人」の実態は、ジャーナリストらの努力でかなり明らか
になってきた。が、広大なすそ野ともいえる「公益法人」のほうは、未だ見通せない薄闇の中にあった。その制度も、
組織も、実像も、わかりにくかった。補助金や委託費の流れ、行政との関係、天下り状況の実態はどんなか、一度調
べる必要があった。
そこで、このテーマを正面から取り上げることとした。
1 公益法人問題とは何か
1 いわゆる「特殊法人改革」の経緯とまやかし
2 取り残された公益法人改革
3 公益法人の制度と設立状況、指導監督基準
2 肥大化する「見えない政府」
1 電波行政がつくった社団法人
2 問題公益法人を類型化する
総務庁の初の実態調査所見
3「情報公開」は形だけ
KSD事件が意味するもの/公益法人の名簿も実質「非公開」
3 知られざる実態
1 奇妙な法人--休眠法人
2 幽霊法人も1200近くさまよう
3「トンネル法人」--補助金の交付機関
人件費は補助金で賄う
4「丸抱え法人」--補助金・委託費で収入を賄う
5 国の事務を補助・補完
「地域独占」財団/バブルの後始末財団/勧業一体化財団/
法的根拠なき国策財団/基地の騒音対策で設立
6 各省庁のシンクタンク
有力シンクタンクも「官」の手中/
特殊法人から補助を受ける「トンネル型シンクタンク」
7 特殊法人の事務を補助・補完
「赤字の特殊法人」対「黒字の公益法人」/
建設省・道路公団ファミリーの暗躍/分割された道路施設協会/
特殊法人代わりの財団
8 特殊法人が設けた施設を管理・運営
特殊法人の不動産管理法人/大規模保養基地「グリーンピア」を運営/
特殊法人と「負の連鎖」
9「国家資格」の事務を実施する
「指定法人」と行政の蜜月/国家試験の実施を独占/
受験手数料を大幅引き上げの罪/自己増殖する「資格」「認定」
10 国の「検査」「検定」「認定」を実施する
不透明な補助金ルート/パチンコの型式試験を独占/
公益法人の必要性がない競争型検査機関
11 公益法人の「資格」を国が認定
「英検」に人気集まる/文部省が「認定」を格上げ/
介護サービス支援の「政府子会社」/常勤役員の四分の三が天下り
12「特権」公益法人
国立公園の規制地域で保養事業/国の職員の互助会・共済会/
保有株式をファミリー企業に分散
4 設立・運営を巡るさまざまな手法
1 法によらずに「通達」で利権
「課長通達」が唯一の根拠/改正法が仕組みを透明化
2 法によらずに「告示」で利権
公益法人の業務を下請けする公益法人/
資格認可の許認可法人も天下り基地
3 業界からの「寄付金」で運営
護送船団行政の破綻で没落
5 根治のための処方戔
1 主務官庁制を廃止する
2 NPOと扱いを同一に
取材ノート
あとがき
バブル経済の崩壊から10年以上たってもなお、かっては偉容を誇った日本経済は、米国をはじめアジア諸国の
経済とは対照的に、依然として低迷した状態から抜け出せない。
政府が経済・社会の停滞に突破口を開く構造改革ができずに問題の先送りを続けるのは、なによりも改革を嫌う官僚
の抵抗があるためではないのか。
本書はこの疑問と仮設から出発し、「公益法人」という行政のツールと運用実態に行き着いた。
「失われた90年代」を巨視的にみれば、対外的には冷戦体制の終焉、国内的にはバブル崩壊という構造変化に対応
できなかった、ということだろう。
なぜ、できなかったかといえば、主たる原因は、問題の山積と奥深さが要求する構造改革に政・官が取組まずに、
問題の先送りを続けたからである。政権はめまぐるしく変わったが、その都度弥縫策をとって、構造改革を後回しにした。
この国の制度設計に深く関与する政と官が、責任と権限を持ちながら事実上の「不作為」の罪を、こぞって犯し、責任逃
れを続けたのである。
問題先送りの象徴は、国民の税金を徒に費やした「住専処理」に表れたが、その後も教訓は生かされず、金融危機は未
だに解消されていない。そして全体として、統制経済型の「日本社会主義」の硬直構造を脱皮できずに、90年代に始ま
ったグローバル資本主義への適応に失敗し続けているのである。
このように問題を先送りし、構造改革の実施にストップを掛け続けた”主犯”が、なによりも官僚の抵抗であったことは、
橋本龍太郎首相が率いる行政改革会議が97年9月に発表した「郵貯の民営化準備・簡保の民営化」の中間報告が、郵政
官僚の反発から覆されたことを思い出せば容易に想像がつこう。中間報告後、郵政省幹部は自民党の族議員を巻き込んで
連日、議員会館に国会議員を直接訪れるなどして圧力をかけている。
構造改革を妨げる一大要因となった官僚の抵抗は、しかし、どこからどのように来るのだろうか。答えの一つは、官僚
制に共通する一般的な抵抗である。官僚機構の属性ともいえる体制(秩序)の維持指向が、本質的に体制の大胆な改革と
相容れず、改革に抵抗することが挙げられよう。官僚主導国家では改革するにしてもスピードがのろく、内容も前例主義
にとらわれて薄く、陳腐になりがちだ。
二つめの答えは、既得権に絡む抵抗である。官僚が自らの権限で利権を手に入れられるばかりか、それを増殖できる
「ツール」をもっていて、構造改革でこれを失う恐れがある場合、生活がかかるだけに激しい抵抗は必至だ。郵政官僚
からすれば、先の郵貯と簡保の事業がそれに相当する。
そして、官庁全体、官僚全体からすれば、特殊法人、認可法人、公益法人などがこの特権をもたらすツールに該当する。
それらは是が非でも防衛されなければならない。なかでもつくりやすさ、既に設立された法人数の多さ、隠れミノに事業
の不透明性、監視機能の弱さにおいて、官にとって公益法人が最も使いやすく、天下りしやすい法人であることは間違い
ない。KSD事件はこのような土壌から生まれたものだ。これが主務官庁の裁量ひとつで設立できるために、いまでは
77法人ある特殊法人の330倍以上もつくられたのである。 こうした官側の既得権がどっしりと社会に根を下ろして
いるために、日本の改革が進まないのである。
本書で取り上げた公益法人は、全体の数からみれば、ごく一部にすぎないが、この約40例からだけでも、ニッポン
官僚国家の特異な構造を垣間見ることができよう。
それは中央官庁ー特殊法人・認可法人ー公益法人ー傘下の子会社・関連会社へ連なる、他国には決してみられない
「官業の多重構造」であり、この構造のポケットに「官」の巨大な既得権が隠されているのである。
特権をもたらす「官の聖域」は、事実上の「見えない大きな政府」を形成して、巨額の補助金を要求し、規制行政を
生み出し、業務の独占とコスト増を引き起こす。ーーこれに対する国民の負担は計り知れないが、情報が閉ざされている
ために国民はこのことを知らされていないのである。
(後略)
蛇足: ここまでお読み頂いた方は、小泉首相の掲げた「聖域なき構造改革」が、何を指しているかのご理解に役立たれた
ことと思います。「守旧派」「抵抗勢力」と呼ばれる人たちの姿も見えてきたことでしょう。
核心は「お金」の問題です。経済財政会議の方針を受けて、来年度の国家予算を編成する実務を担当するのは財務省の官僚
ですから、「骨太の方針」がどこまで貫けるか、「骨抜き」にされてしまうことはないか、国民はしっかりと監視をしなけれ
ばなりません。
日本を覆い尽している利権構造を改革することは大事業です。簡単にすべてが一時に解決することはないでしょう。
国民は自らの将来のために、一時の興奮やお祭り騒ぎではなく、粘り強く改革が行われるよう政治家への監視を続けなければ
なりません。
政治への監視は最終的に国政選挙に際しての「投票権」の行使によって表されます。私たちの運命は私たちの投票行動に
すべて掛かっていることを、より多くの国民が認識することを願っています。